読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

厳正な抽選の結果、あなたが選ばれましたと女性に言われた件

知らない男と何がきっかけで知り合ったかは定かではないんだけどさ。2人して仲良く自転車に乗ってデパートに向かっていたんだよ。

もうね、何を会話するというわけでもなく、デパートにたどりついた自分たちはね。自転車から降りて通常では考えられない行為に走ったんだ。

ポケットからお互いにスマホを取り出して交換したんだよ。自分は何事もなかったように

「スマホにどうしてもメモしておきたい番号があるから、前まで私のだったスマホをちょっと貸してくれ?」

と、以前使っていた自分のスマホを男から受け取ったんだ。そして、目が覚めた……。今まで見た奇妙な夢の中でベスト10に入るほど不可解な夢だった。

自分は高校生の頃にさ、学校のベランダに女性がいてね。女性の方に向かって自分は走り出し、そのままベランダから飛び降りてしまう夢を見たこともあったんだよ。

小学生の頃はさ、自分が正義の味方になり、空を飛ぼうと家の窓から飛び出したら、そのまま落ちてしまった夢も見たこともあるんだよ。

けれども、自分のスマホを見ず知らずの男と交換するなんて不思議すぎるしね。実際にはありえないことなんだよ。だいたい自分のスマホには大切な番号が1つや2つあるわけでさ。

今ではスマホに番号を登録しているだけでね。電話帳のノートに番号を明記しているのはめずらしい時代になった。

※祖母は電話帳ノートに番号を明記している。

スマホをなくせば知り合いの番号も消えてしまうかもしれない。しかも知らない男のスマホを受け取ってさ。自分はどうすればいいんだよ。スマホで思い出したのだけどね。

麻薬密売人は麻薬を購入するお客をケータイに登録していってさ。かなりの人数がたまると、そのケータイは何百万円もの価値になるらしい。

もうね、個人の情報に付加価値がつく時代なんだよ。例えば、訪問販売で騙されて物を購入してしまう家はね。ターゲットにされてしまってさ。暗号のようなものが表札とかに書かれているらしい。

訪問者は表札を見るけれどね。家に住んでいる人たちは表札をよく見ることなんてめったにないような気がするんだ。以前、知らない女の人から電話があったんだよ。

「おめでとうございます。厳正な抽選の結果、あなたが選ばれました」

「はっ? 何かに応募したことはないですが……」

「そうですか。あのう、今お時間ありますか? 事務所にきていただけたら、いいものがもらえるんですけど?」

「今、とても忙しいんですよ」

「えっ、そうですか。あのう、失礼ですが今何をされているんですか?」

馴れ馴れしい口調でさ。いきなり相手を探る質問をしてくるんだよ。一発で、この女の人は怪しいと感じた自分は嘘をついたんだ。

「今ですかぁ。警察ですけど……」

「あっ」

女の人は言葉がつまった。自分の中では良い嘘と悪い嘘があってね。時には臨機応変に自分を守る嘘もつかなければいけないんだよ。

女の人のひるんだ「あっ」で、やばいと確信したんだ。女の人もこれ以上自分に話しても無駄だと思ったのか、はたまた警察と聞いて動揺したのか、すぐに電話を切ったんだよ。

あれから、そういう類の電話はかかることはなくなり、今になってふと思うことがあるんだ。あの番号は警察関係だから、かけたらいけないブラックリストに載ってしまってね。

怪しい業者が自分にかけなくなったのだろうか。なんて、ふと思ったりするんだよ。ケータイやスマホを持つことで便利になったけどさ。

その分リスクもともなうんだよ。あなたは知らない人から電話があったらどうしますか?

結婚相手は抽選で (双葉文庫)

結婚相手は抽選で (双葉文庫)

 
タカ印 抽選箱 37-7912 LUCKY BOX

タカ印 抽選箱 37-7912 LUCKY BOX