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おじいちゃんが脳梗塞で倒れた

コラム コラム-エッセイ

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テスト期間が始まろうとしていた時だった。母親からおじいちゃんが言葉が話せなくなり救急車で運ばれたと告げられた。おじいちゃんは調子が悪くてさ。病院で入院していてね。体調が回復したから退院した矢先の出来事だったんだよ。母親は血行を変えておじいちゃんが運ばれた病院に向かったんだけどね。リビングに母親のケータイが置かれていたんだ。動揺している時ってさ。うっかり忘れてしまうんだよね。

母親のケータイに母親の妹からメールがきたので、母親がケータイを忘れて家を出たことを伝えた。おじいちゃんに万が一のことがあったらテストどころじゃないなと思った。ぶっちゃけテストなんて追試受ければいいんだしさ。おじいちゃんにもしものことがあれば自分も駆けつけようと決めたんだ。その日、母親は帰ってこなくてね。次の日、やっと帰ってきたんだよ。

 

おじいちゃんが脳梗塞で倒れたらしく、片側が痲痺して動かないこと。目を開くことができないと知らされた。病院のベッドでおじいちゃんは暴れるらしく、入れ歯を抜かれ、両手両足は縛られたみたい。どうやら点滴を抜こうとするらしいんだよね。おじいちゃんは心臓にペースメーカーつけてる身体障がい者だしさ。かなりの高齢だしね。男性の平均寿命はとうに超えている状態なんだよ。今回、おばあちゃんが救急車を呼んだから病院に運ばれたわけでね。うちの母親にしても病院にすっ飛んでいった。それもこれもおじいちゃんが結婚し、妻や子供がいたからなんだよね。

今後、日本は独身男女が増えていくわけだけどさ。ただね、年老いた時に独りは怖いなって感じたね。どんなに独身貴族を楽しんでようが、おひとりさまを満喫してようがさ。人間は時間とともに老いていくからね。老いた時にさ。独りでいることに自分は耐えられるのだろうか。正直、胸をはって大丈夫と言える自信はない。

おじいちゃんにしてもさ。おばあちゃんが救急車呼んだから病院に運ばれたわけだからね。これが独りだったらさ。助けを呼ぶこともできず脳梗塞で部屋の床に倒れてしまったかもしれない。そりゃ男性にしても女性にしても結婚相手の理想はあるからね。3組に1組は離婚をしてしまう時代だからさ。結婚したら誰もが幸せになれるわけでもない。ただ、高齢者になった時、独りでいても自分が平気な顔で暮らせるかどうかは分からない。

 


そんなことを考えながらも時は流れて。

 


テスト期間は終了した。2015年11月3日は祝日だったのでユーリオ家でおじいちゃんのお見舞いに出かけたんだ。病室のベッドで寝ているおじいちゃんは自分が知っていた姿じゃなくてね。入れ歯が抜かれていたのもあったんだけどさ。やせ細っていて以前と比べるとさらに老いた印象があったんだ。

おばぁちゃんや母親がね「おじいちゃんお見舞いにきたよ」なんて耳元で言ったり身体をさすっても反応がなくてさ。自分はおじいちゃんの顔や額を手で触ったんだけどね。冷たいんだよ。まるで植物人間のようにおじいちゃんは息だけしている状態でさ。どんな言葉をかければいいのか真っ白になってしまってね。ただ、見ていることしかできなかった。

 

少し頭の整理をすることができたからさ。おじいちゃんの耳元で「きたよ~。お見舞いにきたよ~」なんて言ったんだけどね。反応がなくてさ。父親や弟もおじいちゃんに呼びかけたりしてね。「う~」みたいな感じでさ。やっとおじいちゃんが言葉を発したんだ。片言だったし、よく聞き取れなかったけどね。お見舞いにきた自分らにありがとうと言ってくれたんだ。

しばらくして看護師がやってきてね。「石川さん大丈夫ですか?」って声をかけたらさ。おじいちゃんはね、「は~い」なんて返事するんだよ。で、看護師が自動ベットを起き上がらせてさ。おじいちゃんの意識が急にシャキッとしたようになったんだ。それでもおじいちゃんの目はつぶったままだったんだけどね。おばぁちゃんや母親がおじいちゃんの手を握りながら呼びかけたり話しかけたりしてさ。自分もおじいちゃんの手を握って話しかけたらね。目をつぶっていたおじいちゃんの目がばーって見開いたんだよ。目が開くんだぁってびっくりしたけど嬉しかったなぁ。自分の手を握るおじいちゃんは力強くてさ。そりゃもう力強くてね。本当に力強くて・・・・・・。

自分は真っ当な生き方をしてこなくてさ。さんざんおじいちゃんには心配かけたんだよ。人にはいろいろと過去があるからね。紆余曲折あって自分が医療系の専門学校に行こうと決意した時、とても喜んでくれた。おじいちゃんからさ。「生きている間にユーリオが鍼灸師になった姿を見れるかな」ってぼそりと言われたことがあってさ。そん時は「何を冗談言ってるの? おじいちゃん元気じゃん。長生きしてよね」なんて笑いながら返したんだけどね。そう、笑いながら返したんだ。でも、この出来事は笑えなくて。笑えるはずもなく、久々に泣きながら文章を書いている自分がいました。

 

こんな状態におじいちゃんがなっても長生きして欲しいです!

 

 

おじいちゃんが生きているうちに鍼灸師になった自分の姿を見せたい。

 

2015年11月3日(火)文化の日 とある病院にて 石川ユーリオ